実際のところ本格的な乗っ取りはされていないものの、経営方針が乗っ取られているような場面と出会した。
その時の特徴と、気を付けるべきところをまとめる。
同じ組織に属するコンサルタントを作るのは、役割的に非常に危険
「社長(クライアント)←社員(コンサルタント)」とのよう下の者がコンサルタントになろうと、「社員(クライアント)←上司(コンサルタント)」とのよう上の者がコンサルタントになろうと、私個人の見解では役割的に非常に危険なことだと考える。
コンサルタント業界に詳しくないため実際は私が考える以上の業務をするのかもしれないが、基本はクライアントの悩みへの助言や、改善を提案するのがコンサルタントの業務なので、同じ組織に属するコンサルタントがいると本来の組織にはないはずの「見えない力関係」が生まれてしまう。
「社長(クライアント)←社員(コンサルタント)」だと、社長の権威性が落ちて社員を止められなくなるかもしれない。
「社員(クライアント)←上司(コンサルタント)」だと、ガッチリ固めた派閥の如く上司にイエスマンな社員になるかもしれない。
どれだけコンサルタントが上手い人であっても、経験があっても、どこかで必ず問題が生じると私は思う。同じ組織に属するコンサルタントを作ることは、意図的にマニピュレーターを作ることと同じだ。
私が実際に見たのは、「社長(クライアント)←社員(コンサルタント)」のケースだ。当時の私は問題の社員からコンサルタントを提案されたが、契約を結ばなくて本当に良かったと思っている。
同じ組織に属するコンサルタントがいたことで実際に見た「見えない力関係」
実際に起きていたのは「社長(クライアント)←社員(コンサルタント)」だ。
例に挙げたとおり、社長の権威性が落ちてしまった。社長よりも社員の方が発言力が強かったため、会社の方針を決める権限が社長ではなく社員にあるような、会社を乗っ取られた状態だった。
私の中で最も印象が強いのは、社員が本格的に間違っていること(個人情報の悪用)を提案したとき、社長が止めに入って個人情報の悪用だと指摘しても、社員は「連絡を送ってもらえたら相手は嬉しいはずだから」と間違いを認めないような振る舞いだったことだ。結果として、社員は提案を退けてくれた。
百歩譲って、個人情報の悪用を指摘されたときに社員が「しまった」と気付くならまだいい。ただしこれでも、社員がコンサルタントだというのには目を瞑った状態だ。
社員が社長のコンサルタントであること、個人情報の悪用だと受け止めず勝手な解釈をしたことが、極めて危険だった。
そして、万が一提案を呑んで問題が生じた場合、責任は社員ではなく会社(社長)に向かうことになる。見えない力関係が生まれると、会社を乗っ取られるどころか滅ぼしかねないことにもなるのだ。
コンサルタントは外部から指摘するからこそ、コンサルタントの役割を果たしている
コンサルタントは現場のことをわかっていないだの、余計な口出しをするだのと、現場から不満の声が上がってくることもあるのは確かだが、問題や悩みをテコ入れするため外部からコンサルタントが呼ばれるので、不満が出てしまうのは当然あることだと思う。
コンサルタントは外部から指摘するからこそ、コンサルタントの役割を果たしている…とのよう私は思う。
コンサルタントと関わって、時々不満を抱えることもあるだろうが、コンサルタントは己の責務を果たしてくれているだけなので、陰ながらお疲れ様と思った。