準委任契約の偽装チェック:多重請負
準委任契約は2社経由まで。
契約対象が従業員でなくフリーランスの場合、1社にカウントされる。
非常に大切なことなので、赤枠で囲ってみた。
ネットサーフィンをすると、どうにも私にかぎらずフリーランス及びエンジニアで知らない人はそれなりにいるみたい。
契約上
問題ない
クライアント
↓
A社(元請け)
↓
B社(下請け)
↓
B社の従業員
多重請負
クライアント
↓
A社(元請け)
↓
B社(下請け)
↓
C社(孫請け)
↓
C社の従業員
契約上
問題ない
クライアント
↓
A社(元請け)
↓
B社(下請け)
↓
B社と雇用契約を結んだフリーランス
多重請負
クライアント
↓
A社(元請け)
↓
B社(下請け)
↓
B社と雇用契約を結んでいないフリーランス
ただしこういう構造がSES企業などが作業者に対してすんなり口にしてくれる訳ではないし、何なら隠蔽に走ることもあるし、いざ暴いてみたら「何でそんなに間に会社を挟んでるん?」となることもあるので、気付くポイントとしては、
- 間に勤務時間を提示するだけの何もしていない企業がある。
- クライアントの挨拶 or A社への挨拶で、なぜかB社やC社の担当がA社との面会を避けようとする。
2つ目の「クライアントの挨拶 or A社への挨拶で、なぜかB社やC社の担当がA社との面会を避けようとする」は「なんか契約に問題ある案件に回されたな」と気付く有力なポイント。
⚠️多重請負だけだと罪に問えないかも
多重請負も多重請負で間違ってはいるんだけど、それだけでは罪に問えないかも。※今後の法規制で処罰が変わる可能性あり。
ただし多重請負は他の偽装と併せると効力が増す。
資料を探してみた(お願いした)
私ではどうにも「準委任契約は2社経由まで」「契約対象が従業員でなくフリーランスの場合、1社にカウントされる」の資料的なものが見つからなかったので、当時教えてくれた人に相談して参考記事をゲット(・ω・`)
相談した人からは、2024/04よりも早い段階で2者経由までと聞いていたので、実際に取り決めがあったのはもう少し早いかな?
「労基からもらった資料もあるよー」と聞いているので、いま確認中…。
準委任契約の偽装チェック:指揮命令
まずはじめに、終業時間を決めた時間拘束は指揮命令に当たる。ただし業務委託契約書の中に就業時間に関することが入っていると話はまた別で、訴えとしては弱くなるかもしれない。
働く場所を指定することも指揮命令に当たる。これも時間拘束と同じく、業務委託契約書に書かれていたら条件が変わる。
業務委託契約書の中身で言うと、業務内容に書かれていないことをする場合、指揮命令に当たる。ただし案件によっては当初と依頼が変わるため業務委託契約書の中身を見直すこともあり。
チェックポイントとしては、
- 業務委託契約書の中に時間拘束に関する内容が書かれているか。書かれているなら、時間拘束を同意の上で業務委託契約(準委任契約)を結ぶのかを自分に問う。
- 業務委託契約書の中に業務環境に関する内容が書かれているか。書かれているなら、業務環境を同意の上で業務委託契約(準委任契約)を結ぶのかを自分に問う。
- 業務委託契約書に書かれる業務内容は適切か。敢えてアバウトな書き方をした契約書を提示する会社もあるので、実際に行なう予定の業務と認識齟齬がないかを自分に問う。
準委任契約の偽装チェック:「所属会社」
プロジェクトにもよって定義が揺れることもあると思うけれど、「所属会社」とは一般的に雇用関係にある会社のこと。
悪質なSES企業だと、所属会社のことを「うちの会社の名前を貸し出しているだけ」と答えることもある。この場合、フリーランスと直接契約を結ぶ企業が「本来雇用関係にあらねばならないところを準委任契約で押し通そうとしていたり、雇用関係が必要だという情報を隠している」可能性が高くなる。
契約書にもないことを「業界のルールで正しいこと」だと言って押し通そうとする傾向にあるなら、ほぼ確実にクロ。契約書に書かれていないことを守らせる権限はない。
プロジェクトを抜けるときの書類の注意点
実際に私にあったことだが、プロジェクトを抜けるときの書類の手続きで、所属もしていないのに所属会社の記入を執拗に求められた。
雇用契約を結んでいて所属しているなら所属会社はそのまま記入すればいいが、所属していないなら絶対に記入しないこと。
ちなみに私が何度も何度も断ろうと所属会社の記入を求められたり、直接契約を結ぶ企業とは全く話が通じず、本来筋を通すのは私でないのに私が上位の企業と交渉したりして(この時は色々と上位の企業に申し訳なかった)、私の精神的負担が重くなり一時的に病んでしまったが、そのときに直接契約を結ぶ企業から「休職すべき診断書」の提示を求められた。
個人事業主(フリーランス)に休職なんてものはないし、雇用契約を結んでいなければ診断書の提示は必須ではない(し、偽装に合意したと思われたくないならむしろ出さないほうがいい)。偽装をする相手が求めるのは「形だけでも会社に所属している証拠」なので、休職すべき内容だろうとそうでなかろうと、診断書の提出は絶対に突っぱねること。
ここで個人事業主(フリーランス)が「休職すべき診断書」を医師に頼んで提出した場合、有印私文書偽造罪と偽造私文書行使罪を犯すことになるので、罪を犯したくないなら絶対に言いなりにならないこと。
フリーランス法を確認しよう
フリーランス法は2024/11/01から執行される。
専用サイトも用意されているので、フリーランス自身も身を守るためにチェックしよう。
フリーランス・トラブル110番
契約のことで本当に困ったことがあったら、フリーランス・トラブル110番に問い合わせることもあり。
私自身も問い合わせたことがあるのだが、電話での問い合わせは時期によってはかなり混み合っていて、すぐに相談電話ができず予約を取る必要もあるかもしれないので、メールでの相談や、有償の弁護士の相談を検討するのも必要かも。
あと、万が一裁判になるなら、問題に直面した時に体力があるかどうかを考えること。あとは嫌な話になるけれど、相手会社から労力に見合った賠償金を要求できるのかとか、相手会社を潰してでもやりたいことなのかを判断基準にすること。
弁護士の相談まで走ったら、おそらく裁判に勝てるほどの条件を持っていると思うけれど、問題と直面する最中の裁判は本当にしんどいと思う。
今は労働基準監督署も厳しいとのこと。他の企業からのプロジェクト参画者が偽装に巻き込まれていた場合、該当プロジェクトに関わる他の企業も「貴社も偽装しないよう注意してくださいね」と指導されるらしい。
偽装に巻き込まれたら、偽装の他に積み重なる罪(嘘)に注意すること
もし仮に偽装に巻き込まれたら、自分に非は無いという証拠を作ること。
悪質なSES企業は偽装に限らず、他の違法行為にも踏み入ってくるので、必ず自分の身を守ること。
たとえばプロジェクトから離れるときの手続きの書類でSES企業側が有印私文書偽造を強いてくることもあるので、言いなりになって署名や印鑑を押さないこと。言いなりになって署名したり印鑑を押せば同罪になる。
けれどもどうしても書かなければならない書類もあるので、そのときはデジタル署名でなくアナログの原本を必ず持っておくこと。
書類を印刷
↓
書類に手書きで署名&印鑑
↓
スキャンする
↓
スキャンした書類データを、送信時刻や送信した証拠が消えない方法で送ること(例:メール)
仮に契約した企業側が書類内容を書き換えて上位の企業に手渡したとしても、自分は全く関わっていない証拠を提示できる。
※今は特にデジタル署名での契約も増えたので、何をしたら悪意あることから自分を守れるのかをよく考えること!
まとめのメッセージ
業界に初めて入る人や、あまり携わったことがないプロジェクトに携わる人向けのメッセージだけど、
「ブラックなことをグレーだと押し通そうとするSES企業もあるが、それは間違いなくブラックなので聞き入れないこと」
未経験だからとか、慣れないプロジェクトだからとかで自分を下げないこと。
たとえ未経験だろうと、慣れないプロジェクトだろうと、あなたが任されているのは紛れもなく「仕事」だから。
ブラックなことをグレーだと押し通そうとするのは悪質なSES企業の常套文句なので、成すべきことをしていないSES企業側を咎めるべき。